2005年映画レビュー

タイトル / ALWAYS 三丁目の夕日 

公開年 製作国 / 2005年 日本映画

監督 / 山崎貴

出演 / 吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、薬師丸ひろ子 ほか

観賞場所 / アミューズCQNシアター1(渋谷)

ストーリー

徐々に完成していく東京タワーが見える、東京下町の夕日町三丁目に住む人々の物語。昭和33年の春、父・則文、母・トモエ、一人息子・一平が暮らす修理工場「鈴木オート」に集団疎開で星野六子がやってきた。一方、鈴木オートの向かい側には、駄菓子屋を営みつつ、少年雑誌に載せる冒険小説を執筆している茶川竜之介は飲み屋の女将・ヒロミに恋をしていた。ある日ヒロミの元に引き取り手のない少年の淳之介がやってきたが、困ったヒロミは人の良さそうな茶川に託してしまう。酔った勢いで淳之介を預かった茶川だが・・・。

レビュー

戦争から13年経った、昭和33年の人々は明るく前向きでした。そして、周りの人とのつながりがもっと密接で、暖かいモノだったのでしょう。私はその時代影も形もありませんが、貧しかったけれど、心も想像力も豊かで、自分たちで作り上げる喜びに満ちていたように思います。見事としか言いようのないその時代の景色を精緻なセットとCGなどの技術を使い、まるで自分がその場所に紛れ込んだような感覚に陥るぐらい作り込まれています。衣装やコトバにもそれがにじみ出て出演者の人たちも本当にそこに居るかのよう。

ストーリーは、その時代の特徴的な人物(頑固な昭和親父とか、ちょっと浮いたでも魅力的な飲み屋の女将など)とともに波乱を巻き起こしつつ進行していきます。時には誤解も起こるけど、そこから人の絆が固まる様子は見ていて気持ちよく、今の時代との差異を感じずにはいられません。

日本アカデミーで全部門で優秀賞を勝ち取り、映画館での上映延長にもなりました。是非映画館でしか見ることが出来ない大画面でその感動的で美しいこの作品を多くの方にご覧頂きたいと思います。夕日は終わりではなく、明日への希望でもあるんだと、しみじみ思いました。

タイトル / キング・コング 

公開年 製作国 / 2005年 アメリカ映画

監督 / ピーター・ジャクソン

出演 / ナオミ・ワッツ、ジャック・ブラック、エイドリアン・ブロディ ほか

観賞場所 / 2005/12/23 日劇PLEX3(有楽町)

ストーリー

大恐慌まっただ中の1933年ニューヨーク。喜劇女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)は突然見せ物小屋が閉鎖になり、満足に食べることもできない苦しい生活を送る。一方、B級映画監督のカール・デナム(ジャック・ブラック)は制作中の映画を伝説の島スカル・アイランドに変更するべく投資家に提案するが、逆に制作中止を言われそうになり、撮影を強行すべく準備に走る。出発間際女優探しをしているカールは、困窮しているアンを見つけ、映画出演をなんとか説得することに成功。アンが尊敬している劇作家ジャック・ドリストル(エイドリアン・ブロディ)を巻き込み、一行はスカル・アイランドに向け出発する。

レビュー

1933年に制作された「キング・コング」のリメイク作品。最初はそれほど期待していなかった映画ですが、実際観てたらそのことが間違いであったことを思い知らされました。オリジナルの「キング・コング」を知らないので、どう違うのかなどは全く分かりませんが、映像の迫力、リアルさに圧倒されました。そして決してモンスターではないキング・コングとアンの心の交流に知らず知らず引き込まれ、最後に涙してしまいました

監督のピーター・ジャクソンとスタッフの作り上げた1933年のニューヨークの緻密な町並みもスゴイ。また伝説の島スカル・アイランドの自然・生き物への想像力と映像に胸躍らされるモノがあります。そして、一番重要なコングの存在感!船のコック役でも出演しているアンディ・サーキス(ロード・オブ・ザ・リングのゴラム役)により、より豊かな表情を持つようになりました。

3時間を超える長編映画でありながら、それをまったく感じさせず、映画に釘付けになってしまう素晴らしい作品。ご覧になった方は、エンドロールの悲しみを帯びた曲が流れる中、目に涙をたたえながらキング・コングに思いを馳せることと思います。アンを演じたナオミ・ワッツの「人間の中にある獣が自然の美を殺した」という言葉が心の中でじんわり広がります。

タイトル / ハリー・ポッターと炎のゴブレット 

公開年 製作国 / 2005年 アメリカ映画

監督 / マイク・ニューウェル

出演 / ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン ほか

観賞場所 / 丸の内ピカデリー1(有楽町)

ストーリー

ホグワーツ魔法魔術学校とボーバトン魔法アカデミー、ダームストラング学院の三校による伝説の三大魔法学校対抗試合が行われることになった。三校の生徒達とのダンスパーティの交流をしていくなか、ヴォルデモード卿復活へ不気味な動きが進行していた。

レビュー

2時間37分の映画は長かったです。でも、原作をまとめるにはそれでも足りないとは思いました。特に今回はイベントも多く展開の早さにビックリするでしょう。でも、映像の出来は素晴らしいと思います。最初のクディッチのワールドカップ決勝戦でのシーンやポッターが試練を受ける映像は面白かった。「時間が足りない」と書きましたが、映画の中でのストーリー展開に特別違和感は感じませんでした(だいぶ前に原作を読み実家に置いてあり詳細を忘れているから?)。初の登場人物が多く名前が頭に収まりきらないのは閉口しましたが。

それにしても、主人公たちは大きくなりました。最初は”子ども”って感じが強かったのですが、顔つきもしっかりしてきて、ずいぶん大人っぽくなりました。なんだか、毎年毎年彼らの成長記録を見ているように感じます。ぜひ最後まで出演して欲しいですね。

タイトル / ヘイフラワーとキトルシュー 

公開年 製作国 / 2002年 フィンランド映画

監督 / カイサ・ラスティモ

出演 / カトリーナ・タヴィ、ティルダ・キアンレト ほか

観賞場所 / シネ・リーブル池袋(池袋)

ストーリー

ジャガイモ研究に余念がなく遊んでくれないパパ、家事が苦手で外の仕事に出たがっているママ、わがままし放題の5歳の妹キトルシュー。そんな家族に囲まれた7歳のヘイフラワーは悩みがいっぱい。もうすぐ小学校に行くことになるのに家族のみんなから頼られ、心配事が絶えなく、今まで頼らなかった神様にもお祈りしました。そんな懸命な折りが通じたのか普通の家族として歩み始めた矢先、キトルシューの理不尽な行動で、ヘイフラワーは我慢の限界を迎える。

レビュー

珍しいフィンランド映画ですが、出てくるキャラクターの可愛らしさや色彩の組み合わせが魅力的な映画です。両親や隣人姉妹、警官の二人組も特徴的ですが、題名にもあるヘイフラワーとキトルシューが一番見ていて楽しい。お姉ちゃんであるヘイフラワーのキュートな笑顔や姉としての苦労を演じている様子に感心し、妹のわがままいっぱいな行動と発言にクルクル変化する豊かな表情に驚きます。

この映画のもう一つの魅力が色。プログラムもカラフルでその特徴が現れていますが、やはり映画の中に出てくる家(特に室内)や登場人物の服装の色に頭が「クラッ」としそうなぐらい(笑)。ですが、その色使いは決してゴテゴテして嫌な感じではなく、「よくこんな組み合わせを!」と思いつつも魅入られてしまいます。ヘイフラワーとキトルシューの笑顔と色彩の鮮やかさに癒される素敵な物語でした。

タイトル / ルパン 

公開年 製作国 / 2004年 フランス映画

監督 / ジャン=ポール・サロメ

出演 / ロマン・デュリス、クリスティン・スコット・トーマス、パスカル・グレゴリー ほか

観賞場所 / 銀座テアトルシネマ(銀座)

ストーリー

ルパンは子ども時代、両親とともに母の姉の嫁ぎ先である公爵家に厄介になっていた。父にボクシングを教わりながら成長していくルパンだが、あるとき父親が泥棒の罪で公爵家に押しかけた警察から逃げるため飛び出していった。夜中こっそり戻ってきた父はルパンに公爵家秘蔵の”マリー・アントワネットの首飾り”を盗んでくるように言う。無事盗みだし父に渡したルパンだが、騒動を起こしたことで公爵の怒りを買い、家を追い出される。馬車で移動する途中、父の指輪の印章を身につけ殴り殺された死体を見てしまい、嘆き悲しむルパンと母。それから数年が過ぎ、大人になったルパンは客船の中にいた。

レビュー

ルパンものの映画は初めてでしたが、観ている最中に身を乗り出すくらい十分楽しめました。私のルパンのイメージは子どもの頃読んだ小説(子ども向け)やアニメのルパン三世が中心。今回、私が登場人物のカリオストロ伯爵夫人やクラリスに興味を持った理由は、宮崎駿さんの「ルパン三世 カリオストロの城」の影響に端を発します。

この映画の良かったところはそういった登場人物が魅力的だったことでしょう。特に悪女役のカリオストロ伯爵夫人はしたたかで冷酷で、微笑みを浮かべていますが迫力十分です。もちろん、主役のルパンもただ格好良く・洗練されているだけでなく、人間臭さや若さ故の無鉄砲さ、時にはドジな面も表現されていて、親しみを感じさせるものでした。女性に弱いところはまさにルパン!観る人の期待を裏切りません。

ストーリー展開も父との衝撃的な出来事や謎解き、隠された財宝などと小さい頃読んだルパンの興奮をじわりと感じさせるもの。舞台となるフランスの町並みや人々の衣装、美術の作り込みも映画の完成度を高めています。小説のルパンのイメージを壊したくない・・・と感じる方にもオススメです。

タイトル / サマータイムマシンブルース 

公開年 製作国 / 2005年 日本映画

監督 / 本広克行

出演 / 瑛太、上野樹里 ほか

観賞場所 / アミューズCQN(渋谷)

ストーリー

とある大学のSF研究会に所属する5人の男子学生と2人の女性写真部員に起こったひと夏の騒動。突然部室に現れたタイムマシンを使い、壊れたエアコンのリモコンを復活させるべく過去(昨日)に旅立つ。

レビュー

また”時間”がキーワードになったタイムマシンの映画。ゴチャゴチャと装飾された部室と主要人物の多さで目の持って行き場に困るのと、伏線いっぱいで1回すべて確認するのは難しいです。タイムマシンの利用目的も使い方も滅茶苦茶ですが、まあそれはそれでいいかなという感じ。ただ単純に騒いで楽しい青春映画という印象もありますが、タイムマシン理論(?)の説明も分かりやすく妙に納得。それなりに楽しい映画でした。

問題はやはり人物の印象の薄さかな?「スウィングガールズ」でファンになった上野樹里さんが目的で観に行ったのですが、やはり彼女の印象も薄い。やけに出てくる商品名だけインパクトがあった(それってどうなんだろう)。

・・・メリハリって大事だよね。

タイトル / 運命じゃない人 

公開年 製作国 / 2004年 日本映画

監督 / 内田けんじ

出演 / 中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏 ほか

観賞場所 / ユーロスペース(渋谷)

ストーリー

気弱な純朴なサラリーマンの宮田武は、最近彼女(倉田あゆみ)に振られ落ち込んだ日を送っている。そんな彼が、これまた婚約寸前の彼と別れて気落ちしている桑田真紀とレストランで出逢ったことで物語が始まる。しかし、宮田の親友・神田勇介の不審な行動や突然戻ってきたあゆみ、そして、ヤクザの浅井志信が登場し、徐々に思わぬ方向に話が展開する。

レビュー

この映画のキャッチコピーにも使われている”タイムスパイラル・ムービー”という言葉が、映画の時間進行状況をすべて表します。物語は最初と最後を基準にして、その間の出来事が複雑に絡み合いながら展開していきますが、その場面展開がこの映画の醍醐味!徐々に重なり合った時間の空白が埋まり、それぞれが行動する動機が分かり、そのタイムラグ感が観ていてとっても心地よい感覚をもたらします。

主人公のサラリーマン宮田(中村靖日)を始め、登場人物が個性的でそれだけでも楽しいのですが、なによりもその人たちのセリフが印象的。特に探偵である神田(山中聡)の「電話番号をなめんなよ!」とか「お前は、いまだに人生に期待しちゃているんだよ」などの、レストランのシーンで語られる一連のセリフがグサリときます。もちろん、状況によっては”こない人”もいるわけですが(笑)。
映画のタイトルである「運命じゃない人」というのは、よく言う”運命の出会い”に対する監督のちょっと皮肉っぽい気持ちが出ていて面白いと思いました。

最後に、映画を観る前にプログラムを購入するという方、中を読むのは映画を観てからにしてくださいね。その方が楽しめますので!

タイトル / 亀は意外と速く泳ぐ 

公開年 製作国 / 2005年 日本映画

監督 / 三木聡

出演 / 上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり ほか

観賞場所 / テアトル新宿(新宿)

ストーリー

平凡で主婦片倉スズメ。夫は単身赴任中で、その夫から頼まれた亀の世話をしながら、退屈した日常を送っている。
そんな中、偶然階段に貼り付けられた極小の「スパイ募集」広告を見つける。「いたずら」か「詐欺」かと疑いながらも、つい電話をかけてしまい、指定された安アパートに向かった。スズメの平凡さが気に入られ早速スパイとして採用。支度金500万円まで渡され、潜伏活動に入る。スパイ活動を続けていく内に平凡に過ごすことが楽しくなり、日常に潜む非日常の姿を徐々に垣間見ていくことになる。
そうした日々を送る内に、スズメの親友クジャク(蒼井優)が引き当てた地引き網体験イベントで死体が網に引っかかり町は大騒ぎに。それを機にスズメの周辺が慌ただしくなり、スパイとしての危機が迫る。

レビュー

監督は舞台やテレビ番組でお笑いの脚本を手がけてきた三木聡という人。私はよく知りませんが有名な人らしく、これが監督として2作目です。映画は題名が表しているとおり「どうでも良いことだが、知らなかった”へえ〜”な小ネタ」が所々に出てきます。日常のつまらなさと自分の存在感の薄さに悩んでいる主婦が、”スパイ募集”に気づいたところから物語が大きく、そして密かに展開していきます。

ストーリーはあるが、ものの見事に現実感が希薄で、何の力も入れずにボヘ〜っと脱力しながら観ることが出来ます。変な(個性的では上品すぎ?)町の人々の怪しい行動には、すでに非日常感が一杯漂っているが、なぜかそれでも真剣に生きている様子が見て取れて、「お笑い」とはちょっと違うテイストに仕上がった映画。主人公の主婦スズメ(上野樹里)の心情にちょっともの悲しさが感じられるシーンがあり、作品としてバランスも取れているように思いました。

プログラムの中で監督のインタビューに答えていました。「100人中50人がすごくつまらない、50人がすごく面白いっていうのがやっぱり理想的。」(一部抜粋)。監督・・・そこそこ面白いというのはダメですか?(笑)

タイトル / レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 

公開年 製作国 / 2004年 アメリカ映画

監督 / ブラッド・シルバーリング

出演 / ジム・キャリー、リアム・エイケン、エミリー・ブラウニング ほか

観賞場所 / 新宿東急(新宿)

ストーリー

長女ヴァイオレット、長男クラウス、次女サニーのボードレール3姉弟は、両親に疑問を持ちつつも平和に暮らしていました。そんな平和が、突然原因不明の火事により両親と家を失うことで破られてしまった。失意の姉弟3人は遠縁の親戚であるオラフ伯爵の家に厄介になることに。しかし、オラフ伯爵が同情ではなく、財産目当てに3人を招き入れたのである。こき使われ上、伯爵が後見人に決定した途端、殺されそうになった3人は機知を働かせ、からくも罠から脱出し、伯爵の手を逃れた。しかし、それは不幸せのはじまりに過ぎないのであった・・・。

レビュー

夢と希望の明るいファンタジーではない、ダークな雰囲気が漂う物語。全体のくすんだ色調、オラフ伯爵や長女ヴァイオレット(ついでに次女サニーも)の凝った衣装。そして出てくる登場人物たちの怪しさ、すべてが重々しくて暗く怪しい架空の世界に観客を引き込んでいきます。

怪しい人物のトップはもちろんジム・キャリー演じるオラフ伯爵。表情と動きで変装で人間臭く危険な人物を演じています(しつこさはホラー並)。突然の不幸に戸惑いながらも、賢くて次第に行動力を発揮するリアム・エイケンとエミリー・ブラウニングの両名も良かったです。とくにエミリー・ブラウニングに対しては、このCinemaページでも取り上げた「ゴーストシップ」からの成長が嬉しくなるぐらいです。他の見所として、変わった導入部やエンディングスクロールの世界観を表した凝った映像もとても面白い。

「世にも不幸せな物語」は近年公開されたファンタジーの「ハリポタ」や「指輪物語」よりも多くの観客の興味を惹く間口の広い要素を持っています。きっと、この作品を比較して最も良いと判断する人は少なからずいるはず。子どもよりも大人が熱心になれるファンタジーであると感じました。

タイトル / 香港国際警察 NEW POLICE STORY 

公開年 製作国 / 2004年 香港=中国合作映画

監督 / ベニー・チャン

出演 / ジャッキー・チェン、ニコラス・ツェー、チャーリー・ヤン、ダニエル・ウー ほか

観賞場所 / 有楽町スバル座(有楽町)

ストーリー

香港警察のやり手であるチェン警部(ジャッキー・チェン)。ホーイー(チャーリー・ヤン)という婚約者もいて公私にわたって順調な人生を送っていた。
ある日、ジョー(ダニエル・ウー)を筆頭に強力に武装された銀行強盗集団が現れ、警察に多大な被害を及ぼした。自分たちに自信を持つチェン警部は犯人逮捕を誓い、自分を含む10人の精鋭チームで犯人たちを捕まえる任務に就いた。さっそく犯人たちのアジトの情報を掴み、乗り込んむ精鋭チーム。しかし、乗り込んだ場所は警察を待ちかまえる犯人たちの罠だった・・・。

レビュー

ジャッキーの本格アクションが帰ってきました!最近は「ラッシュアワー2」などのハリウッド映画でも成功を収めるジャッキーでしたが、アクションに関しては少し物足りなさも感じていました。しかし、香港でオールロケされた、この「香港国際警察」では年齢を感じさせぬ激しいアクションで観客の度肝を抜きます。

それにしても、ここまで追い込まれたジャッキーを観るのは初めてです。冒頭のシーンのボロボロの姿は特に印象に残り、その理由を知りたくて映画に引き込まれます。「香港国際警察/NEW POLICE STORY」では犯罪をゲーム感覚で行う若者が出てきますが、まさに現代の傾向である”どこか深刻でなく、だからこそ怖い”犯罪を正面から扱っています。いつもよりシリアスで所々に彼の映画らしいユーモラスさ。まさにジャッキーらしい映画の醍醐味を見せてくれます。

犯人の一人との激しい格闘シーンで過去の映画を思い出し懐かしさも感じながら、それでもドキドキしながら心の中でジャッキーを応援してしまいました。手に汗握る、素晴らしいポリスアクション映画!!

タイトル / ローレライ 

公開年 製作国 / 2005年 日本映画

監督 / 樋口真嗣

出演 / 役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇、堤真一、石黒賢 ほか

観賞場所 / 新宿コマ東宝(新宿)

ストーリー

1945年第二次世界大戦末期、日本はアメリカにより広島に原爆を投下された。日本は最後の切り札としてドイツから接収した潜水艦「伊507」に未来を託す。驚異的な戦闘力で「ローレライ」と名付けられた潜水艦は戦争に係わっている様々な人々の思惑に翻弄されていく。

レビュー

まず小説を読んだ方は、この映画は小説とは別物と考えて観た方が良いと思います。大ざっぱな流れは同じだが、人物の設定(役柄・行動・重要性など)や細かい部分(細かいといっていいか分からないところも含む)がかなり違うため。そのために小説と比較しようとすると若干混乱することになります。
それなら、小説を読まない人向けかというと、それも難しい。なぜなら内容のボリュームが大きすぎるのに、放映時間が2時間ちょっとと少なすぎるため。間に挟むべきストーリーがいくつもあり、まるでダイジェスト版を観ているような錯覚を起こします。私は小説を読んだ方だが、映画で「ローレライ」が初めての人も同様程度の違和感を感じるのではないのでしょうか。

戦闘シーンの迫力(潜水艦が破壊される様子)についてはなかなか良いと思いますが、潜水艦のCGがイマイチで残念。私は戦争をする兵器としての重圧感や重量感が足りないと思いました。

酷評しているわりには、映画を観ている最中涙ぐんでしまったのですが・・・何故だ〜。

タイトル / タッチ・オブ・スパイス 

公開年 製作国 / 2003年 ギリシャ映画

監督 / タソス・ブルメティス

出演 / ジョージ・コラフェイス、タソス・バンディス、マルコス・オッセ ほか

観賞場所 / ル・シネマ2(渋谷)

ストーリー

休暇を控えた宇宙物理学者ファニスの元に「ヴァシリスおじいさんがやって来る」という知らせが届く。歓迎の料理を準備し、おじいさんの友人たちも揃ったところに電話のベルが。ファニスは祖父が倒れたことを知り、やがて一緒に過ごし、そして別れた過去を回想する。
ファニスが少年の頃、家族全員でトルコのイスタンブールに住んでいた。香料を扱うお店を営む祖父、初恋の人サイメとの楽しい日々。しかし、トルコとギリシャの関係が悪化し、ファニスと両親は祖父たちと別れることになってしまった。

GOOD

家族全員が集まり、料理と食事を共にし、暖かい団欒が行われているところ。出てくる料理もとても美味しそう。また、時々絵画のように見える美しいシーンや遠くの被写体から徐々にバックしていくカメラワークが面白い。

BAD

当時トルコとギリシャの歴史的な緊張関係が背景にあり、それにより登場人物たちが離ればなれになった。そのことを詳しく知らないと(私も知らなかった)感情移入がしにくいのではないかと思います。

レビュー

2003年のギリシャ国内で大ヒットした映画。私なりの想像では大ヒットの原因はギリシャの歴史をより正確に描こう、そして料理とりわけ欠かすことが出来ないスパイスへの愛着を描いているからだと思う。ヨーロッパではスパイスを巡っておこった戦争もあるのだが、それだけ彼らには重要なものであることの一端は感じられました。
家族の取る行動がユーモアであり、主人公のファニスとおじいさんとの会話の面白さで映画自体楽しい面を持つが、果たせなかった約束のことなど悲しさと哀愁が漂う映画でもあります。

タイトル / マシニスト 

公開年 製作国 / 2004年 スペイン=アメリカ合作映画

監督 / ブラッド・アンダーソン

出演 / クリスチャン・ベイル、ジェニファー・ジェイソン・リー ほか

観賞場所 / シネクイント(渋谷)

ストーリー

工場で働くトレバーは周囲から怪しまれるほど痩せてはいるが、平凡な機械工として毎日を送っていた。痩せた原因はすでに365日眠っていないせいだが、周囲の人間にはそのことが話せない。そんなある日、自宅の冷蔵庫に「WHO ARE YOU?」という張り紙が何者かに貼られていた。なぜ?誰が?その後工場にアイバンという新しい同僚がやってくるが、その直後自分のミスで同僚ミラーの片腕切断事故が起きる。眠れない以外は平凡だった日常が、次第に狂い始める。

レビュー

クリスチャン・ベイルの痩せた姿が怖すぎます!身長が188cmもあるのに体重が約53kgだったらしい(元は80kg)。映画の中でふざけて死人のようなポーズをするシーンがあるが、ほとんどゾンビそのもの。怪我をして傷だらけになっていき、後半は余計にその印象を深めた。映画の為に痩せたそうだが、痩せたことによる虚脱感がひしひしと伝わってきて、息苦しさを感じる。役のためとはいえ、ここまで自分を追い込んだクリスチャン・ベイルは恐ろしい役者だと思います。

ほぼ全編がダークな雰囲気で進む中で、娼婦であるスティービーの優しさには本当に救われます。演じたジェニファー・ジェイソン・リーの自然な感じに好感。

映画のストーリー展開も主人公のトレバーの混乱した頭の状態が反映されて、観る者を混乱させる。存在しない同僚の男アイバンや赤い車、冷蔵庫に貼り付けられたハングマン・ゲームの紙。断片的に現れる記憶と現実の交差が、トレバーを悩ませ狂わせていく様子が怖い!現実的にはありえない365日眠らない男の行方が気になるのは、その恐怖が自分たちの身近に存在するからでしょうか・・・。

タイトル / Rayレイ 

公開年 製作国 / 2004年 アメリカ映画

監督 / テイラー・ハックフォード

出演 / ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、レジーナ・キング ほか

観賞場所 / 新宿武蔵野館1(新宿)

ストーリー

レイ・チャールズの約半世紀を描いた自伝的映画。アメリカで人種隔離政策が行われていた時代、レイが生まれたのは差別の強いジョージア州。母アレサと弟ジョージの三人で貧しいながらもなんとか生活していた。そんなある日、弟が洗濯桶に落ち、溺れ死んでしまう。驚きで体が硬直し、なすすべが無かったレイは以後この事件がトラウマになっていまう。さらに、9ヶ月後にはレイの視力が無くなる事態に。「誰にも盲目なんて言わせないで」という母の言葉を胸にレイの人生の戦いが始まる。

GOOD

私自身はあまりレイ・チャールズの事を知らなかったのですが、少しだけ見たことがある彼の特徴を表現したジェイミー・フォックスの演技が抜群!「単なる物まね」ではなく、この役をやるために最も適した役者であるのは間違いありません。

この映画はレイ・チャールズの光と闇の双方に話題が及んでします。良いことばかりが描いてある映画では、映画としてこれほど人に感動を与えられないでしょうし、光の部分・・・栄光と活躍は輝きを増すことはなかったと思う。そう言う意味においても「真実を語らないことだけは許さないよ。」とレイ・チャールズが映画の制作に関して言った注文は正しいかと。

レビュー

盲目であるという、人より多くの苦しみ・困難な状況の中で育っていった彼の生き様は凄味がある。当然意図したわけでないのでしょうが、ハンデを持つことによって研ぎ澄まされた音への感覚というのも、音楽の成功の道につながったのだろうと思います。もちろん、それには彼自身の多大な努力によって支えられ、そして周りの人たちの理解と協力なしにはあり得なかったのかも知れない。その経緯が余すところなく、ストーリーになっているのが、この映画の最も大事な部分です。

レイのあの歓喜に満ちた笑顔をみたことがある人は、それが強烈に印象に残ると思います。私はそれに惹きつけられて映画を観たのですが(本当にそれだけが理由)、ストーリーと流れる歌を聴いていると、おぼろげだが感じ取れるものはあります。彼の母親が言った「自分の足で立て」という言葉を、苦難を乗り越え実現した彼の魂(ソウル)の歓びの表現かもしれない。皆さんは、どのように感じるでしょうか?

映画が公開される前の2004年6月10日に亡くなったレイ・チャールズのご冥福をお祈り申し上げます。

タイトル / ハウルの動く城 

公開年 製作国 / 2004年 日本映画

監督 / 宮崎駿

出演 / 倍賞千恵子(ソフィー)、木村拓哉(ハウル)、美輪明宏(荒野の魔女) ほか

観賞場所 / スカラ座1(有楽町)

ストーリー

国を覆う愛国主義、そして蒸気機械と魔法が混じり合った世界。その国でひっそり生きる18歳のソフィーは、父から受け継いだ帽子店を切り盛りする日常に迷いながらも、コツコツと真面目に生活していた。
そんなある日、パレードで周りが盛り上がる中、兵士に絡まれているところを魔法使いのハウルに助けて貰う。ところが夜になり、ソフィーはハウルをつけねらう荒野の魔女に呪いを掛けられ、90歳の老女にされる羽目に。「このままでは、ここにいられない」と決断したソフィーはハウルのいる荒野に向かった。

GOOD

魔法が登場しますが、「天空の城ラピュタ」を思い出させる冒険活劇。元気なおばあちゃんの姿は観ている者を励ましてくれるように思う。体は多少弱っても、心が元気なら頑張れるんだ、というメッセージ?

久石譲の音楽が今までのジブリ作品の中でも秀逸の出来だと思う。私はテーマ曲を思い出すだけで鳥肌が・・・。

個性的なサブキャラクターたち。火の悪魔カルシファーやハウルの弟子であるマルクル。そして、荒野の魔女。荒野の魔女はお馴染み美輪明宏さんだが「なんでこんなに魔女役が似合うんだ〜」という感じ。魔女だが、欲望に忠実で自己顕示欲が強く、もっとも人間的なキャラクターでもあり、その存在感はこの映画の中でも群を抜いています。私としては「千と千尋」の魔女よりも魅力的かな。

BAD

悪いわけではないが、ソフィーの声がもう少し若い方(あくまで声として)がより、キャラクターに合っていたと思う。ただ、そうなると半分ぐらいを占めるおばあちゃんの時の声に問題が出るかも・・・微妙だなあ。

レビュー

「生きる楽しさ、愛する歓び」というキャッチコピーそのままの映画のようです。ソフィーは店を守る為だけに、帽子店を営み、楽しみもなくただ日々を淡々と過ごしていた。だが、ハウルと出逢ってからは、生きていて良かったと思うようになり、次第に愛する気持ちが大きくなっていく。一方、魔法の強い力を持ちながら、悪魔と契約し気ままに生きていたハウルも同様の気持ちになり、体に深刻な負担をかけてまで、魔法を使ってソフィーたちを守っていく。お互いに生きていくことの意味を見いだしかねて、鬱々とした日々を送っていた二人にとって、愛はまさに魔法であったに違いありません。

タイトル / ターミナル 

公開年 製作国 / 2004年 アメリカ映画

監督 / スティーブン・スピルバーグ

出演 / トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、スタンリー・トゥッチ ほか

観賞場所 / 日劇PLEX1(有楽町)

ストーリー

東欧の国クラコウジアからニューヨークにやって来たビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)。入国審査中にクラコウジアでクーデターが起きて、無国籍の中途半端な状態のまま、空港で立ち往生してしまう。英語もよく分からず、どうして良いか分からぬまま、改装中の67番ゲートで生活する羽目に陥る。
空港から追い出そうとする警備局の責任者、最初は不審に思いつつも次第に心を開いていく空港職員。そして、フライト・アテンダントのアメリア・ウォーレンとの出逢い。ターミナルでの滞在が長引く中、ビクターが「なぜ、ニューヨークに行かなければならないか」が明らかになっていく。

GOOD

セットとは思えないほどの空港らしさ。人が行き交いし、休憩し、そして旅立っていく・・・その様子をリアルに作り出しています。

トム・ハンクスの演技が相変わらず素晴らしい〜!!特に悲しみを押し殺した表情も見ていると、思わず目頭が熱くなってしまいます。肩肘張らない自然な演技が観客をスクリーンへと引き込む。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズが珍しく純真な役を演じている(笑)。本人には挑戦的な役柄かもしれないが、心の葛藤を素直に打ち明けていく姿が自然で可愛らしい。

BAD

フライト・アテンダントが字幕でスッチーとなっている。日本人には馴染んだ言葉かも知れないが軽すぎるような気がします。

結末があっさりしていて、ちょっと拍子抜け。

レビュー

私自身もシンガポール旅行の際、帰るときにチャンギ国際空港で一泊したことがある。だから、主人公が見知らぬ場所に一人で滞在することの不安はよく分かる(私の場合、帰ることが出来るという違いはあるにせよ)。またそのことが、映画の中で表現されていたと思います。言葉がよく分からないまま、人が目的を持ち行動しているのを見ると、自分だけひとりぼっちで不安に押しつぶされそうになります。祖国でクーデターが起き、自分の孤独な状況が理解できたビクターが、どうしようもないまま立ち止まったまま動けない(動かないではなく・・・)シーンがその心の状態をよく表しています。
それでも、八方ふさがりの状況に前向きに立ち向かう姿は見ていて気持ちがいい。それとともにビクターの心の優しさが、空港職員だけでなく観客の心も溶かしていくようで、心温まる映画となりました。

余談ですが、ルーシーという役で、サーシャ・スピルバーグ(スピルバーグ監督の娘)が出演しているらしい。これから映画をご覧になる方は探してみるのも面白いかも知れません。

タイトル / カンフーハッスル 

公開年 製作国 / 2004年 中国=アメリカ合作映画

監督 / チャウ・シンチー

出演 / チャウ・シンチー、ユン・ワー、ユン・チウ、ブルース・リャン ほか

観賞場所 / 丸の内ルーブル(有楽町)

ストーリー

文化革命前の不安定な時代の中国。悪がはびこり繁華街ではギャング団の熾烈な争いが起こっていた。強力なギャング集団<斧頭会>にあこがれるチンピラのシン(チャウ・シンチー)とその相棒(ラム・ジーチョン)は、小さい窃盗を繰り返して生活していた。
とある日、貧乏なアパート<豚小屋砦>に強請のため乗り込んだ二人だが、小物振りがバレバレなため、反対に住民の反撃にあってしまう。そのとき偶然通りかかった<斧頭会>のメンバーを巻き込んでしまい、<豚小屋砦>と<斧頭会>の争いへと発展。争いが拡大していく中、シンは”悪”に対する考え方が次第に変わっていく・・・。

GOOD

映画のコピーどおり、まさに「ありえねー」戦い。ワイヤーアクションとCGを上手く組み合わせているところ。最初の部分に反するようだが、カンフーをカンフーとして敬意を持って扱っているところ。カンフーだかなんだか分からない格闘シーンが多い映画界で、それぞれの武術シーンを描いているところに好感が持てます。

BAD

シンが悪に走るきっかけとなった、過去のエピソードが弱いような気がします。ヒロインとの関係があるので、プラスアルファ何かが欲しかった。猫好きにはちょっと嫌悪感を抱く場面あり(私も猫好きですが)。

レビュー

日本では「少林サッカー」で有名になったチャウ・シンチーの映画。正直前回ほどの笑いの爆発力はありませんが、十分楽しめる内容となっています。「少林サッカー」に出演していた人が何人もいて、今回との違いに笑えるかも知れません。原題で「功夫」とあるようにチャウ・シンチー自身がカンフーを愛し、自分の映画で表現したくて、この映画が出来たのだと思います。だからといって、昔のように武術シーンが延々と続くわけではなく、ワイヤーアクションやCGも取り入れることで、現代的なカンフー映画に仕上げています。馬鹿馬鹿しいほどの破壊力、そして普通の人に見えていたのが、実はすごいカンフーの達人といった盛り上がる要素にもことかきません。
さらにチャウ・シンチーの特徴である笑い(そしてちょっとしたロマンス)も各所にちりばめられ、正月映画に相応しい作品です。

ちなみに私が観た次の回の行列は”ありえねー”ほど長かったです。