2006年映画レビュー

タイトル / オーロラ 

公開年 製作国 / 2006年 フランス映画

監督 / ニルス・タヴェルニエ

出演 / マルゴ・シャトリエ、ニコラ・ル・リッシュ ほか

観賞場所 / シャンテ シネ(日比谷)

レビュー

バレエはほとんど見たことがなく(白鳥の湖など有名なものすら)、よく分かっていませんが、それでも踊りの素晴らしさを見ることが出来たのは良かった。ピンと伸びた足先、柔らかな手の動き、躍動感と表現力に満ちた体の動き・・・見ていてとても楽しいものであることが分かります。

ストーリーに特に目新しさはなく、ある意味普遍的なテーマ。主人公は自分の愛を貫き、バレエで自分を魅せ愛を語ります。抜擢されたパリオペラ座のマルゴ・シャトリエの危うい感じが、若い王女という主人公をより魅惑的なモノにしています。

この映画の心かき立てられる音楽や歌も素晴らしく、総合的に見てオススメ出来る作品でした。

タイトル / 武士の一分 

公開年 製作国 / 2006年 日本映画

監督 / 山田洋次

出演 / 木村拓哉、壇れい、笹野高史、小林稔侍 ほか

観賞場所 / 池袋シネマ・ロサ(池袋)

レビュー

キムタク演じた下級武士のやるせない日常が、ある出来事によってガラッと代わり、ついには武士の一分(面目)を掛けて、果たし合いをする・・・というもの。
ストーリーは凄く単純ですが、観ている人を飽きさせません。キムタクの迫真の演技が特に良かったのはありますし、主人公の妻役の壇れいも、その時代の優しさと熱い心を持った女性を見事に演じていました。その他の役者さんも見事。

登場人物の心や自然のあり方が、今の日本とは違う清々しい感じでどこか郷愁にも似た気持ちをおこさせます。
そして、観ている自分がまるでその物語の中にいるような錯覚さえも。

この映画は山田洋次監督の時代劇三部作と呼ばれているそうな(それぞれ評価が高い!)。それまでの2作品はまだ観ていませんので、レンタルで是非観たいと思いました。
寅さんだけかと思っていたので、ちょっとビックリ(失礼)。

映画の最後には思わず涙も(最近映画で泣いてばっかりですが・・・)。最近良い作品が続々上映されている日本映画の一つであると思う素晴らしい作品でした!!

タイトル / GOAL! 

公開年 製作国 / 2005年 アメリカ=イギリス合作映画

監督 / ダニー・キャノン

出演 / クノ・ベッカー、スティーブ・ディレイン、アンナ・フリエル ほか

観賞場所 / サロンパス ルーブル丸の内(有楽町)

ストーリー

メキシコからアメリカに不法入国した一家の長男であるサンティアゴ。10年後、地元のサッカークラブで荒削りながらもゴールを決める姿に目を止めた元スター選手であるグレンがイギリスの中堅クラブであるニュー・カッスル・ユナイテッドの入団テストを受けるように薦める。
堅実な生活をモットーとする父親からは反対され、折角貯めたお金まで父が仕事用のトラック購入費に使われてしまうが、祖母と弟の強力を得て、サッカーのプロになるという夢をかなえるべく、単身イギリスに旅立つ。

レビュー

サッカーのドイツW杯2006の年にピッタリなサッカー映画です。全三部作の第一弾ですが、今作では地元アマチュアクラブでプレーするところから欧州(舞台はイギリス)のクラブで活躍するまでを描いています。FIFAなどの全面的な強力を得て作られた作品ということもあり、有名選手の登場だけでなく、ストーリーの細部にわたってリアルなのが特徴。

サッカー好きな人にはもちろんそうでない人にもお勧めできます。普遍的である親と子の葛藤やチームメイトとの友情。サッカーの厳しい競争や有名になることで出てくる色々な誘惑など、実際起こりうることが上手く描写されています。

最後の方のシーンでは気持ちのいい感動の涙まで出て、困ったぐらい。せっかくW杯の年でもあるので、これまで興味がなかった方に観て欲しいと思いました。

タイトル / ニューワールド 

公開年 製作国 / 2005年 アメリカ映画

監督 / テレンス・マリック

出演 / コリン・ファレル、クオリアンカ・キルヒャー、クリスチャン・ベール ほか

観賞場所 / サロンパス ルーブル丸の内(有楽町)

ストーリー

1600年代、イギリスから黄金を探しに出航した船がアメリカのヴァージニアに着いた。ジヨージタウンという砦を築き、植民地を作ろうとするが、すでにそこは先住民であるネイティヴ・アメリカンが生活していた。船長から先住民との交渉役を頼まれたジョン・スミスはコミュニティの酋長ポウハタンの元に向かう。到着後、裁きにより殺されそうになったスミスだが、その間際酋長の娘ポカホンタスの命乞いにより助けられた。殺さないかわりにポカホンタスに海の向こうのことについて教えるよう酋長に命じられ、一緒の時間を過ごす中で二人の間に愛が芽生えていくようになる・・・。

レビュー

ディズニーアニメなどで有名なポカホンタスとジョン・スミスの愛の物語。ということですが、名前は聞いたことがあっても作品を知らない私はこの「ニューワールド」で初めて観ることになりました。この作品の元になった植民地時代、特にポカホンタスやジョン・スミスの時の正確な記録が無いため、作品によって色んな解釈がなされているそうです。

結末を書くことが出来ないのですが、自然そのままの姿にこだわった美しく感動的な映像と波のようにうち寄せる素晴らしい音楽の中で描かれる悲劇的な愛の行方に心を奪われる作品です。出演者も言うようにまるで1600年代に紛れ込んだ自分が彼らと行動を共にし、その喜びや悲しみを共有している感覚を覚えます。

一番印象に残ったのは、ポカホンタス演じるクオリアンカ・キルヒャー。撮影当時15歳ながらも、沈黙が多い難しい役柄を見事に演じきっています。まるで森の臆病な小動物みたいに時折下から見上げる表情や繊細な手の動きによって、言葉を発するよりも印象に残る魅力的な女性を表現。スミスに愛を向け、イギリス文化に馴染もうとする姿に見たこともないポカホンタスの健気で一途な愛を感じました。

タイトル / Vフォー・ヴェンデッタ 

公開年 製作国 / 2005年 アメリカ=ドイツ合作映画

監督 / ジェイムズ・マクティーグ

出演 / ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィービング ほか

観賞場所 / 丸の内TOEI2(銀座)

ストーリー

独裁国家と化した近未来の英国でテレビ局に勤務するイヴィー。ある日、夜間外出禁止令の中出かけたため、自警団に襲われたところ、仮面をかぶった黒ずくめの人物”V”に助けられる。中央刑事裁判所を爆破し、国民に11月5日”ガイ・フォークスデー”に立ち上がることを促す。国家に追われるVとその協力者とみられたイヴィーは、11月5日が近づく中でお互いが変わっていくことになる。

レビュー

独裁国家に反逆する謎の男”V”は、怪しさと血なまぐささ、容赦のなさは英雄とは言えないと思いますが、「現状ではいけない、変えなければ」と行動する勇気を持つ人間でもあります。それを彼なりのユーモアを加えつつ着実に実行していく姿には、一言「カッコイイ!!」と思いました。また、一見非情で危険な存在に見えるからこそ、彼の家で見せるお茶目な姿に微笑ましい思いがします。

この作品でスキンヘッドになったナタリー・ポートマンの演技も相変わらず感心。過酷な状況に追い込まれ、イヴィーが徐々に変わっていく様子を好演しています。

タイトル / THE MYTH神話 

公開年 製作国 / 2005年 香港=中国合作映画

監督 / スタンリー・トン

出演 / ジャッキー・チェン、キム・ヒソン、チェ・ミンス ほか

観賞場所 / みゆき座(日比谷)

ストーリー

考古学者のジャックは、自分が古代の武将となって活躍し、また政略により嫁いでくる美しい女性が出てくる不思議な夢を繰り返し見るようになった。物理学者の友人から反重力の説明を受け、その謎を探る仕事を手伝う中で、夢と現実が段々と合わさり謎が明らかになっていく。

レビュー

私が好きなジャッキー・チェンが出演しているとはいえ、実はあまり期待して観に行った映画ではなかったのですが、嬉しい意味で裏切られました。”裏切り”と”愛”がこの映画の重要な要素ですが、なんだか見ていて涙が止まらなくなりました。なにがそんなにツボを刺激したか分かりませんがジャッキー映画の中で最も感動したと言って良いでしょう。

最近流行のワイヤーアクションも取り入れられていますが、これはストーリーの展開上納得のいく使い方でした。基本的には従来からの目玉であるカンフーアクションも健在でジャッキーの年齢を考えるとスゴイ!の一言。剣や槍を使った戦いも迫力がありました。また、中国をまたがって撮影された壮大で美しい景色などは見応えがあります。

以前ほど熱心には観なくなったジャッキー映画ですが、「THE MYTH神話」は心動かされる素晴らしい映画でした。

タイトル / エミリー・ローズ 

公開年 製作国 / 2005年 アメリカ映画

監督 / スコット・デリクソン

出演 / ローラ・リー、トム・ウィルキンソン、ジェニファー・カーペンター ほか

観賞場所 / 新宿文化シネマ4(新宿)

ストーリー

19歳の女子大生エミリー・ローズを死に至らしめたとして、神父ムーアが過失致死罪で起訴させた。大きな裁判で無罪を勝ち取ったばかりのやり手弁護士であるエリンが弁護を受け持つことになった。エミリーは精神を病んでいて、その為服用していた薬を神父が止めさせたことが死につながった、と主張する検察。神父はエミリーが悪魔に取り憑かれていたので悪魔祓いをしたが、薬のせいでそれが叶わず死んでしまったと主張。裁判が進む中、徐々にエミリーの身に何が起こり、本人がどう考えていたかが次第に明らかになっていく。

レビュー

この映画は70年代の西ドイツであった話が元になっています。しかも、「悪魔祓い」が裁判になったというという変わった話。衰弱死した19歳の少女が精神的な病によるのもか、悪魔に取り憑かれた結果なのかが裁判の争点になった、という事実がまず面白いです。裁判の結果は実際映画を観て確認して欲しいと思いますが、このリアルな裁判の様子がこの映画をホラーではなく、まるでドキュメンタリーを観ているような気持ちにさせます。

ホラー映画を期待して観に行った人は辛い点を付けているようですが、私はエミリーが受けた恐怖が自分の身近にあるような感じがもの凄く怖いと感じました。それは生半可なホラー映画よりもよっぽど強いモノです。もちろん映画なのは分かっているのですが、エミリー演じたジェニファー・カーペンターの迫真の演技とこの映画の持つ”ひたひた”と静かに迫ってくる恐怖が観る人の心を縛り付けます。神や悪魔を信じる、信じないはともかく、楽しく日常を送りたい人にはお勧めしません。

タイトル / 好きだ、 

公開年 製作国 / 2006年 日本映画

監督 / 石川寛

出演 / 宮崎あおい、西島秀俊、永作博美、瑛太、野波麻帆 ほか

観賞場所 / アミューズCQN(渋谷)

ストーリー

17歳のユウは川辺でギターを弾くヨースケに想いを寄せていた。下手でいつも同じフレーズを弾くので、ユウは自然と覚えてしまう。一方、ヨースケは大切な人を亡くしたばかりのユウの姉が気になっていた。ヨースケが姉を呼び出し、帰ってきた姉はあのフレーズを口ずさんでいた。やがて、姉に悲しい出来事が起こり、ユウとヨースケはそれを機に離ればなれになってしまう。17年後、30代になった二人は偶然出会うことになる。

レビュー

アコースティックギターで繰り返されるつたないフレーズ、呼吸、普通は拾わないかすかな音・・・無粋に挿入される音がなく、静寂をベースに大事な音と言葉がだけがクローズアップされている。彩度を落とした映像は人物・空などストーリーがゆったり展開する中のほとんどを埋め尽くします。それはまるで、二人の心を映し出すように暗く、悲しく、そして寂しい。好きで好きでたまらないのに大事な一言が言えないもどかしさを宮崎あおいと瑛太が高校生の役柄で演じている。17年後大人になっても心の空白と純粋さを残した二人に永作博美と西島秀俊。観終わっても涙は出ない・・・でも、たった一言で心がじんわり温かくなり、余韻を残す映画はそうはないと思います。

音楽に作曲・編曲・プロデューサーとして有名な菅野よう子。この人の音楽にはいつも心が動かされますが、この「好きだ、」でも期待を裏切らない素晴らしい音楽の出来です。監督(脚本・撮影)の石川寛はCMディレクターとして活躍されている人とのこと。短いCMの中で人を引きつけなければいけない映像の見せ方はこの映画にも活きているように思いました。今後も期待の監督です。

ちなみに、私がこの映画で一番気に入ったキャラクターはセクシーな酔っぱらいのお姉さん「虎美(野波麻帆)」。

タイトル / フライトプラン 

公開年 製作国 / 2005年 アメリカ映画

監督 / ロベルト・シュヴェンケ

出演 / ジョディ・フォスター、ショーン・ビーン、ピーター・サースガード ほか

観賞場所 / 丸の内ピカデリー1(有楽町)

ストーリー

夫の突然死から立ち直れないままベルリン空港から旅立つ、カイルと6歳の娘ジュリア。夫の幻影に悩まされながらも亡骸が入った棺とともに最新型ハイテク重層ジャンボジェット機E-474に乗り込む。航空設計士のカイルにとっては知り尽くした飛行機で、悲しみと疲労で眠りに落ちるカイルだが、眠りから目覚めると娘の姿が消えていた。機内をくまなく探すが見つからないず、娘の搭乗券やリュックも消え、乗務員も姿を見ていない。不安で混乱しかけるカイルに対し、乗務員からジュリアの名前が乗客名簿にないことが伝えられる。

レビュー

限定された空間である飛行機の中で起こる愛する娘の失踪・・・知識を生かしたカイルの行動力がスゴイです。2度のアカデミー主演女優賞に輝いたジョディ・フォスターの演技も素晴らしいと思います。でも、正直な感想としてスリラーとしては物足りなさを感じました。物語の展開を飛行機内部に限定している設定はいいとしても、犯人側のリアリティさが感じられないと言うべきか、もう一ひねり欲しいと言うべきか・・・難しいところです。あと、気になったのが音響。オープニング辺りがこれ以上ないくらいうるさく感じました。もし続くようなら、映画の途中で抜け出そうかと考えたくらいです。調整出来るのかは知りませんが、もう少し配慮をして欲しい(音響の弱い映画館なら、ピッタリなのかも・・・笑)。

タイトル / THE有頂天ホテル 

公開年 製作国 / 2006年 日本映画

監督 / 三谷幸喜

出演 / 役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾 ほか

観賞場所 / 日劇PREX1(有楽町)

ストーリー

年末のカウントダウンパーティを2時間後に控えたホテル・アバンティは、様々な事情を抱えた宿泊客で大にぎわい。汚職国会議員とその秘書、副支配人の元妻とその夫で鹿の研究が評価された教師、会社社長と息子、社長の愛人、ホテルに入ってはつまみ出されるコールガール。

一方、ホテル側も従業員も問題を抱えたまま仕事に年末の慌ただしさの中仕事に励んでいた。夢を諦めた副支配人とそれを支えるアシスタントマネージャー、ミュージシャンを諦めかけたベルボーイに国会議員の元愛人である客室係、影の薄い総支配人とお調子者のもう一人の副支配人、恋人同士のウェイターと客室係、筆耕係にホテル探偵。カウントダウンパーティーに出演する芸人達や死にたがりの有名な演歌歌手。それらが入り乱れながら迎えるカウントダウンの時に何かが起こる。

レビュー

なんだかストーリーを書いたところで説明しきってしまった感じですが、とにかく登場人物が多くストーリーが複雑に絡みます。ただ、特に混乱することなく上手く脚本されている所はさすが三谷幸喜という感じ。主要な登場だけでも23人。みんな有名な俳優たちと言って良く、これだけいるにも関わらず知っている人がほとんどでしょうが、なんとなくひねりの効いた感じでいつもと違う感じが観ていて面白い。いわゆるグランド・ホテル形式で物語が進行しますが、笑いがつねに下地にある三谷幸喜ならではの楽しい作品になっています。セットではありますが、ホテルの豪華さも見所のひとつ。有頂天ホテルは「こんな素敵で楽しいホテルに一度は泊まってみたい」と思わせてくれる空間でした。